もの派

もの派、というのは1960年代後期に生まれた現代美術界の潮流のひとつで、
関根伸夫が旗手として、1968年に『位相−大地』を発表しています。

『位相−大地』の写真を見て、ふいに手塚治虫の作品『火の鳥』の
なかの話を思い出しました。

火の鳥』(望郷編)のなかで、エデン17という星に移住した地球人の女性ロミが
地球に帰る際、立ち寄った惑星のひとつに鉱物が主権を握った惑星が描かれています。
そこでは、 関根伸夫『位相―大地』を彷彿とさせる鉱物の塊が意志をもってゴロゴロと
移動してくるのです。(初出:『マンガ少年』1976年9月号 - 1978年3月号)

そこで、火の鳥のその箇所を改めて読み直してみたのですが、
ますますこれは手塚による意図的な「もの派」批判に見えてきました。

以下にその箇所をまとめてみたので、ご覧ください。

「生物」「生きもの」という言葉を「アート」と読み替えてみると、ますますそう思えてきます。

このヘビの顔といい、少年の冷静すぎる現状説明といい、ロミの不自然な狼狽っぷりといい、
この話だけストーリーの中で浮いていることといい……

いや、そういう気がする、というだけのことです。
ひとりごとです。